■ニュースリリース■ シリコンバレー・デジタルイノベーションラボを活用した独自自然言語処理AIの実用開始について
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループCEO:太田 純、同社グループを総称して「SMBCグループ」)と、株式会社日本総合研究所(代表取締役社長:谷崎 勝教)は、株式会社JSOL(代表取締役社長:前川 雅俊)、Allganize Japan株式会社(代表取締役:佐藤 康雄、以下 Allganize)と共同開発した先端自然言語処理(注1)を用いたAIシステム(以下、本システム)を、2021年上期に導入いたします。
SMBCグループでの利用第一弾として、SMBC日興証券株式会社(代表取締役社長:近藤 雄一郎)及び、三井住友カード株式会社(代表取締役社長:大西 幸彦)のコールセンターにて、お客さまからのご照会にオペレーターが素早く正確にお答えするための支援に、本システムを利用いたします。
これまでもAIシステムを利用して業務効率化を実現してきましたが、更なる効率化を図るべく、新たな解決策を検討する中で、先端技術調査を目的として米国西海岸に設置した「シリコンバレー・デジタルイノベーションラボ」が、米国スタートアップ企業Allganizeの独自自然言語処理技術に注目いたしました。
先端自然言語処理のデファクトスタンダードであるBERT(注2)は高い精度が実現できることで注目を集めていると同時に、従来のAIモデルと比較して学習に必要な計算量が多いことが知られており、処理装置にかかる費用も大きくなることが考えられます。
Allganizeが本システム向けに開発した自然言語処理は、BERTの派生モデルであるALBERT(注3)と呼ばれる技術と独自の自己教師学習(注4)を組み合わせることで、学習に必要となる計算量や計算時間、ひいては処理装置の費用を抑制しながらも学習に係る負荷の省力化を実現できるものです。 SMBCグループでの実証検証においても、現行システム対比、学習に係る業務負荷が大幅に削減されることを確認しております。このような自然処理言語の実用化は、国内金融グループとしては初の取組になります。
なお、本システムはコールセンターにおけるオペレーター支援業務以外にも、SMBCグループ全体に利用拡大する予定です。今後も SMBC グループ一体となって先端技術の積極的な活用に取り組むことで、業務効率化を推進してまいります。
(ご参考)
本システムは、照会応答業務における課題である学習負荷に係る(1)回答評価、(2)文書登録、(3)FAQ登録を効率的に行うための画期的な機能を搭載しております。
(注1)自然言語処理
自然言語(人間によって日常の意思疎通のために用いられる言語)をコンピュータに入力し、目的に応じてなんらかの情報処理を施す技術全般。日本語入力、検索エンジン、機械翻訳、AIスピーカー等、その応用例は幅広い。
(注2)BERT
Bidirectional Encoder Representations from Transformersの略。2018年10月にGoogleのJacob Devlinらの論文で発表、文章の「言語らしさ」を予測する「言語モデル」というAI技術。 言語らしさの予測とは、単語と単語、文章と文章の関係性、およびある単語の次にどの単語が続くべきかをAI技術で解析すること。また、汎用的に適用できる単語や文章の特徴を事前に学習することで、照会応答、文書検索、文書要約等様々なタスクに適用することができるとして、注目を集めている。
(注3)ALBERT
A Lite BERTの略。2019年10月23日(ver.2)にarXivで公開された、BERTを軽量化したモデル。
(注4)自己教師学習
データを入力するだけでその特徴を学習することができる技術。利用者の評価が未知の入力データからも学習できるため、入力前に各データの正否を人手で判定する必要がなくなる。