■導入事例■【小田急ビルサービス様】160の生成AIアプリを現場一体で展開。業務効率化ツールから「経営戦略の中核基盤」へ進化

■導入事例■【小田急ビルサービス様】160の生成AIアプリを現場一体で展開。業務効率化ツールから「経営戦略の中核基盤」へ進化
写真右から:株式会社小田急ビルサービス 警備事業部 主任 城戸様、同企画財務部 IT担当 課長 彼末様、同常務取締役 石原様、Allganize Japan株式会社 Customer Success Team Specialist 久保、同Customer Success Team Senior Specialist 河田(※所属・肩書は取材当時の情報)

株式会社小田急ビルサービス様は、小田急グループの総合ビルマネジメント企業として、駅・オフィスビル・商業施設・ホテルなどに対し、清掃・設備保守・警備・建設工事・地域冷暖房事業運営など幅広いサービスを提供しています。 

人材が限られる時代の経営インフラとして生成AI活用を決断され、全社活用基盤としてAlli LLM App Marketを採用いただきました。
今回は、小田急ビルサービス様の生成AI活用の中心を担う皆様に、導入前の課題、生成AIの選定基準、実際の活用業務や導入効果、今後の展望についてお話を伺いました。

「ITを通じて経営と現場をつなぐ」DX推進体制。現場と連携した生成AI活用プロジェクト

ー まず初めに、皆様の業務や役割についてお教えください。

石原様:IT全般を管轄しており、企画財務部 IT担当は、社内IT基盤の整備・情報セキュリティ対策・基幹システム運用管理に加え、全社DX推進の中核を担っています。単なるシステム管理ではなく、「ITを通じて経営と現場をつなぐ」役割を担い、現場と連携しながら当社に最適なDXを推進しています。

彼末様:生成AI活用の全体の旗振り役として取りまとめており、実務面は警備事業部の城戸さんと設備事業部の佐藤さんとともに取り組んでいます。二人はニーズの吸い上げや生成AIアプリ作成を担い、社内エバンジェリストとして活動しています。 

人材不足と多拠点運営を背景に、生成AIを“経営インフラ”として検討

ー 生成AIの活用を検討された背景についてお聞かせください。

石原様:2023年上旬から生成AIに注目し、各社の事例やソリューションを聞く中で、これは業務に大きく役立つと確信しました。生成AIは単なる効率化ツールではなく、「人材不足時代の経営インフラになり得る」と判断したことが検討の最大の理由です。 

株式会社小田急ビルサービス 常務取締役 石原 剛様

石原様:人手不足と多拠点運営(清掃・警備・設備・工事・地域冷暖房事業・商業開発)が進む中、問い合わせ対応や資料作成を“個人の努力”に依存する運営モデルに限界を感じていました。当社は労働集約型事業が多く、現場が本来の業務に集中できる環境づくりが重要です。しかし実際には、報告書作成や議事録作成、問い合わせ対応に多くの時間が割かれていました。

城戸様: 私が担当している警備事業は特に人材確保が難しくなっています。事業継続性を保つためには、省人化や業務効率化、人的リソースの最適化が不可欠でした。 

彼末様:資料作成などの業務をAIに任せることで、人は判断や改善、提案といった付加価値業務へ集中できると考えました。ビルメンテナンスはデジタルと遠いと思われがちですが、当社はDXに積極的に取り組み、2023年には経済産業省のDX認定も取得しています。生成AIの検討は自然な流れでした。

石原様:もう一つの目的は企業文化への刺激です。当社は創業60周年を迎え、安定した対応を重視する文化があります。生成AIという新しい技術を示すことで、会社がさらに前へ進むきっかけにしたいと考えました。

― 生成AIを活用することについて、経営層の反応はいかがでしたか。

石原様:AIに関する知識や理解度には個人差がありましたが、後ろ向きな意見は一つもありませんでした。当社はBtoB事業で扱う情報も限られており、生成AIを取り入れやすい環境だったのかもしれません。生成AIは新しいチャレンジであるため、実現イメージを提示しながらトップダウンで進めています。 

全社展開を見据えた4つの選定軸で、Alli LLM App Marketを採用

― 生成AIの導入検討について、どのような点を重視されたのでしょうか?

石原様:当初は社内情報を検索するAIチャットボットを検討していました。「今年の有給休暇は何日付与されますか?」といった問い合わせはAIで代替できると考えたためです。 

彼末様:AIチャットボットの検討から情報収集を始め、最終的には問い合わせ対応以外にも生成AIを業務活用できるツールを検討しました。

<生成AIツールの主な選定軸>

1. 社内情報活用基盤としての可能性
2. 誰もが使える操作性
3. 全社展開しやすい料金体系
4. 継続的な伴走支援

 石原様:当社は法令やガイドラインに基づく業務が多く、品質管理が重要であり、回答精度と情報参照の信頼性を重視しました。Alli LLM App Marketのトライアルで、人事規定から正確に回答したのを見て「これだ」と感じました。RAGの精度が高く、社内情報基盤として適していると判断しました。

城戸様:ITスキルに差があるため、一般的な生成AIチャットツールだと最初の入力でつまずく可能性があります。Alli LLM App Marketは、業務ですぐに使える100以上の生成AIアプリが標準搭載され、ノーコードでアプリ開発できる点が魅力でした。

彼末様:ユーザー数に制限がない料金体系も、全社展開を考える当社には適していました。最終的な決め手はAllganize社の伴走支援です。生成AIの活用方法がまだ明確でない中、導入前から親身な支援があり、この会社なら導入後も伴走してくれると確信しました。

株式会社小田急ビルサービス 企画財務部 IT担当 課長 彼末 昌様

現場と協働し、160以上の生成AIアプリを展開

ー 生成AIアプリの作成やカスタマイズは、どなたが実施されているのでしょうか?

彼末様:社内公開している生成AIアプリは160以上あり、企画財務部と現場部署で作成しています。バックオフィス系や共通するアプリのベースは私が作成し、現場業務アプリは城戸さんと佐藤さんが担当しています。いずれも現場のニーズを吸い上げ、生成AIアプリとして形にし、社内展開しています。

議事録作成が1時間→5分、シフト表作成が2日→10分など、生成AIアプリで業務時間が削減

ー 現在、業務で活用している生成AIアプリや、導入効果についてお教えください。バックオフィス部門では、どのように生成AIが活用されていますか?

石原様:まずバックオフィスから導入し、その後現場へ広げています。汎用情報から回答する生成AIチャット、メール作成支援、社則検索、文書比較、労災報告書作成などに活用しています。問い合わせ対応や資料作成の効率化につながり、業務負荷が軽減されました。

彼末様:特に人気なのが議事録作成アプリです。会議をスマートフォンで録音し、MP3データをアップロードするだけで議事録が生成されます。手軽さと高い精度から多くの社員が利用しています。1時間超の作業が5分に短縮されたことで、年間では膨大な時間削減効果が生まれています。 

ー 現場部署で活用されている生成AIアプリや効果についても、お教えください。

佐藤様:私が所属する設備事業部では、主に各現場で行われる職場会議の議事録作成に活用しています。 

城戸様: 警備事業では法令対応の一環としてRAGを活用しています。警備業務は、施設や人々の安全を守るため、警備業法や消防法などの法令対応が重要です。インターネット上にも事例解説記事が存在しますが、状況に応じて適切な対応が異なるため、警察に警備対応を相談する場合があります。

株式会社小田急ビルサービス 警備事業部 主任 城戸 統様

城戸様:六法全書や関連法律一式をRAGの参照ドキュメントとして登録し、AIに質問することで関連条文を検索し、原典を素早く参照できるようになりました。Alli LLM App Marketは、回答根拠となったページがハイライトつきでプレビュー表示されます。その画面をスクリーンショットして保存し、警察への確認時に活用しています。 

彼末様:営業推進でも、物件開拓時の仮シフト表の作成に活用されています。業務経験が少ない社員は約2日かかっていましたが、生成AIアプリで10分程度で作成できるようになりました。

ー 社内での活用開始にあたり、工夫されたことはありますか?

石原様:現場で活用されてこそDXは前に進みます。現場写真からAIがリスクを指摘するデモなどを行い、AIの可能性を具体的に示すなど、自然と社員がAIに関心を持てるような取り組みをしています。

彼末様:社内ポータルサイトにAIアプリを掲載し、必要なアプリを選択して利用できるようにしました。RAGアプリでは参照情報に応じた閲覧制限も設定しています。 

社内勉強会で生成AIの基礎を解説し、小さな成功体験の積み上げで活用を定着

ー 定着に向けた取り組みはいかがでしょうか。

彼末様:AIに初めて触れる社員も多いため、社内勉強会を5回実施しました。AIとの会話の基本から説明し、文書要約や議事録作成、RAG検索などを紹介しました。勉強会では、“失敗してもよい環境”を意識し、完璧な活用を求めず小さな活用から始めています。成功体験を重ねることで心理的障壁を下げ、「難しそう」から「使ってみよう」への意識転換を促しています。

石原様:勉強会以降、明確に利用者が増え、体験型で学ぶ方式に手応えを感じています。今後も定期的に開催し、新アプリの紹介も行う予定です。

株式会社小田急ビルサービス 設備事業部 第二設備課 上席主任 佐藤 心一様(リモートでご参加)

ー Allganizeのサポートについて、ご感想をお聞かせください。

彼末様:月1〜2回のWeb会議による伴走支援で、アプリ設計の助言や最新機能の共有など、単なるサポートにとどまらない支援を受けています。この継続的な伴走があったからこそ、短期間で社内展開できました。

石原様:サポートが手厚く、Allganize社は単なるAIシステムベンダーではなく、生成AI推進の「共創パートナー」と認識しています。

 

現場業務での生成AI活用を加速。AIエージェントをハブに、次世代の経営基盤へ発展

ー 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

彼末様:今後は現場業務への展開を加速します。PCがない現場もあるため、モバイル利用が今後の重要テーマです。社用デバイスのスマートフォンでのUI最適化や音声入出力が定着の鍵だと考えています。

佐藤様:設備事業部でも、生成AIの活用範囲を広げていく予定です。施設ごとのルールをRAGに集約し問い合わせに即時回答する仕組みや、日報から月次報告書を自動生成するアプリの開発を検討しています。 

城戸様:現場から要望が多数寄せられており、接客サポートへの活用も検討しています。たとえば、商業施設内でのポイントカードの受付カウンターです。お客様からのご質問に対して、スタッフがRAGアプリで情報を検索することで、お客様をお待たせせず迅速に回答する仕組みを作りたいと考えています。

彼末様:分析業務へのAI活用も強化しています。労働災害統計などをもとに、Deep Researchで労働災害の傾向を掴み、自社業務に反映する取り組みを試しています。また、Data Assist Agentなど、Excelデータを分析するAIエージェントを用いた多軸分析にも注目しています。

石原様:現場ノウハウや暗黙知を資産化して事業継承基盤を構築し、Alli LLM App Marketを「業務効率化ツール」から「経営戦略の中核基盤」へと昇華させます。将来的には業務システムと連携し、AIエージェントをハブにさまざまな業務を遂行するなど、生成AIをさらなる成長の推進力へと発展させていきたいと考えています。

ー 貴重なお話をありがとうございました。

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