■導入事例■【サーキュレーション様】データプライバシーを担保しながら、数十個の生成AIアプリをリリースし飛躍的な生産性向上を実現
従業員が自ら生成AIで業務改善を行うプラットフォームとして、Alli LLM App Marketを導入
株式会社サーキュレーション様は、「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」というビジョンのもと、外部プロ人材の経験・知見を複数の企業で活用するプロシェアリング事業を運営され、高い専門性を有するプロ人材の経験・知見を雇用ではなくプロジェクトベースで活用いただくことで、企業の抱える課題の解決、ミッションの達成を支援されています。
自社内の業務に関しても、ITを活用した業務変革にも積極的に取り組まれており、全社の生成AIプラットフォームとしてAllganizeの「Alli LLM App Market」をご採用いただきました。
今回は、生成AI活用による業務変革を推進されていらっしゃるDX推進部 部長/VPoE 金谷様とDX推進部 コーポレートエンジニアリングチーム 橘様のお二人にお話を伺いました。
目次
ー 貴社の事業内容と、皆様の役割についてお教えください。
金谷氏:私たちは、「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」をビジョンに掲げ2014年に創業しました。当時はまだ副業などが珍しかった時期でしたが、当初からプロ人材の経験や知見を活用して企業の経営課題を解決する「プロシェアリング」事業を提供しています。
主なサービスには、プロ人材による経営課題解決支援「プロシェアリングコンサルティング」、新規事業立ち上げ支援「Open Idea」、エンジニア・デザイナー・マーケター・ディレクターなどを対象に、週1〜5日からの新しい働き方を提供するプロ人材サービス「FLEXY」などがあります。
橘氏:DX推進部は、社内の情報システム部として攻めと守りのITを担当しており、DX推進、情報セキュリティの強化、ITデバイスやSaaS全体の調達管理などを担っています。業務システムはSaaSを中心に60-70のツールを使用しています。
金谷氏:当社は従業員の平均年齢が約30歳で、若手従業員が多いことも大きな特徴です。学生時代から最先端のITツールに触れている従業員が多いので、新しいツールや機能を積極的に使いたいという声が社内から頻繁に上がります。
企業やプロ人材の皆様の機密情報をしっかり守るため安全性やデータプライバシーを第一に捉えつつ、投資効果の最大化や活発な従業員が新しい技術に親しみながら業務改善を遂行できる環境づくりを進めています。
生成AIは、あくまで「全社の生産性の向上」という大きな目標を達成するための手段の一つ。業務を問わず利用できるツールを求めていた。
橘氏:新しい技術に積極的な社風もあり、ChatGPTのリリース直後から「生成AIを業務で活用したい」という思いが強く、社内からの利用ニーズも強くありました。ただ、当社はお客様の大切な個人情報なども取り扱うため、データプライバシーなどの安全性を担保することが重要です。ChatGPTがリリースされた当時は法人・組織として統制が取れるようなプランがなかったため、業務で本格的に使うには難しい状況でした。
金谷氏:法人向けのGPTサービスなども検討しましたが、当時は”営業向けChatGPT”といった特定の業務領域に特化したツールが主流で、もっと営業部以外の各部署でも活用できる生成AIツールを求めていました。探している中で、AllganizeのAlli LLM App Marketを見つけ問い合わせをした、という経緯があります。
金谷氏:生成AIは、あくまで「全社の生産性の向上」という大きな目標を達成するための手段の一つです。生成AIに関する経営陣の期待も高く、以前までのトレーニングをして一人一人の生産性を向上するアプローチに加えて、新たな生産性向上ができるはずだと考えていました。そのため、一部の部署向けのものではなく、部署や業務を問わず利用できるツールであることが大前提でした。
橘氏:DX推進部としても、従業員が革新的な生成AIに触れられるだけでなく、自分たちで生成AIを活用しながら業務改善サイクルを回せるような環境が理想的だと考えており、そういった生成AIツールを探していました。
データプライバシーを確保しながら、従業員が生成AIを自ら”使い倒せる”環境を容易に実現したい。
ー Alli LLM App Marketを活用することを決めていただいた背景や、導入の決め手をお教えください。
金谷氏:全社で生成AIを利用するためには、従業員自ら生成AIを駆使し簡易なタスクをAIに任せ、さらに、より難しい問題に対する推進力やアウトプットをAIの力を借りながら向上できる環境を作りたいと考えていました。
橘氏:これまで、部署個別に見ても生産性向上に関しては様々な課題がありました。例えば、営業部署では電話や商談の前に、お客様理解のための情報整理などに多数の時間を要していたり、データ処理や情報検索作業にも時間を費やしていました。また、バックオフィス全体では毎月数百件の社内各署からの問い合わせに対応しており、以前から効率化が求められていました。
金谷氏:Alli LLM App Marketの生成AIアプリに関しては、検討段階でメール下書きアプリに触れたり、PDFファイルのセキュリティレポートの要約アプリなどを自分自身で作ってみて、幅広い業務に適用できることを実感できました。従業員自ら生成AIを使い倒せる環境を求めていた私たちにとって、Alli LLM App Marketはニーズにぴったり合致していました。
RAGも実装されており、データプライバシーを確保しながら、自社情報を積極的に活用できる点を高く評価。
金谷氏:多様な生成アプリを使える点ももちろん魅力的に感じましたが、特に良いと感じたのはRAGの仕組みが実装されていることです。RAGを活用すれば、データプライバシーを確保しつつ、我々の情報をどんどん活用できます。
自社でRAGの仕組みを構築することも考えましたが、ゼロから作るには専門知識を持つエンジニアも必要であり、事業会社としてすぐにその体制を整えるのは難しく。一方、Alli LLM App Marketを使えばRAGを活用したアプリをスピーディに展開できるため、実現したいことにマッチしていました。生成AIアプリもRAGも1つのプラットフォームで両方活用できる点が魅力的でした。
橘氏:Alli LLM App Marketは、生成AIアプリ機能に加え、社内情報などの特定情報から回答するチャットボット機能も優れている点も評価しました。「生成AI」×「チャットボット」により、以前から課題であったバックオフィスの社内対応の効率化も同時に実現でき、飛躍的に社内の生産性を高められる可能性があるのではないかと思い、選定に至っています。
金谷氏:コストメリットの点も問題ありませんでした。Alli LLM App Marketの導入を固めた2023年3月当時は、ChatGPTのチームプランをはじめ、各社で法人向けのサービスの提供が出揃い始めてきたものの、Alli LLM App Marketはユーザー数無制限で初期費用30万円+ランニング費用(30万円〜/月)と、他のサービスより安価に導入可能であり、コストパフォーマンスの観点でも優位性がありました。
社内展開直後から、営業部署が自発的に多くの生成AIアプリを作成し、業務効率化に積極的に活用。
ー Alli LLM App Marketの生成AIアプリを、どのように業務に導入されたのでしょうか?
橘氏:約半年間、全社導入の前にバックオフィス全体と一部の営業組織で先行導入を行い、現場で生成AIアプリがどのように活用できるか試しました。
金谷氏:先行導入では、Alli LLM App Marketに用意されている100個のデフォルトアプリの中から、DX推進部にて当社で活用できそうなアプリを選び、対象の部署に、Alli LLM App Marketのユーザー向けアプリ一覧ページを共有して使ってもらいました。
橘氏:先行導入部署にアプリ一覧を展開し、まずは試してもらったところ、AIや業務効率に対する意欲の高い従業員が多く、現場での活用イメージがどんどん広がり、積極的に生成AIアプリを活用してくれています。
ー Alli LLM App Marketを導入してからの変化、社内からの評判や反応はいかがでしたか?
橘氏:全社導入は11月から始まったばかりですが、先行導入した部署では、デフォルトアプリ以外に自分たちでアプリをカスタマイズしたり、新たにアプリを作成したりしながら、業務で生成AIアプリを活用しています。
金谷氏:先行導入のタイミングからアプリの作成権限も現場に渡し、自由にアプリを作成できるようにしたところ、私たちの予想以上に使いこなしており、中には多様やフォーマットのデータを生成AIで細かく整形し、CRMへ一括入力させるようなデータ整形処理をしっかり作り込んでいるチームもありました。
橘氏:Alli LLM App Marketの良いところは、100個のデフォルトアプリを参考にしながら自分たちでアプリを作成できることです。デフォルトアプリのプロンプトも全て確認できるので、テンプレート集のようにプリセットされているプロンプトを参考にしながら作成しています。
金谷氏:習熟が進んだ従業員からは「機能を使いこなすとGoogleスプレッドシートとの連携など、既存データと生成AIの連携が多用途にできそう!」などというポジティブな意見もあがっています。実際に、Zapierを使ってGoogleスプレッドシート、生成AIアプリを連携した試みなども行なっています。Googleスプレッドシートが更新されたらAPIでAlli LLM App Marketの生成AIアプリにデータが連携されて自動処理し、処理した結果をスプレッドシートや別システムに自動で入れ込む、といった感じです。
橘氏:バックオフィスでは、回答自動生成アプリを社内問い合わせのチャットボットとして利用しています。DX推進部への問い合わせでは、導入後はマニュアルに書いてあることは質問されなくなってきました。以前は、直接DMで相談が来ることも一定数ありましたが、導入後はそういった個別の問い合わせも減りました。チャットボットに質問して自分でもある程度調べた上で相談が来るようになった印象です。
金谷氏:先程のようにAPI連携まで自分で実施できる人はごく一部ですが、積極的なメンバーを中心に現場主導で色々な活用シーンや活用アイデアが上がり、アプリビルダーで生成AIアプリとして形にしていく、という流れができ、一定の組織で生成AIの業務組み込みへの挑戦が着実に盛り上がってきているのを実感しています。
「変化を生み出す」社風が、生成AI活用をさらに後押し。トークスクリプトチェックアプリなどが、新入社員にも定着。
ー 生成AI活用に関するニーズの把握や、利用を促進するために工夫されたことはありますか?
橘氏:若い従業員が多いこともあり、生成AIの活用に積極的で、各部署から実施したいことや要望がどんどん上がってきます。ChatGPTがリリースされた直後に、「生成AIなどの先進ツールを使いこなすバックオフィスになろう」というテーマで、30-40人規模の社内ワークショップを開催したところ、生成AIで実現したいアイデアが数十個出てきました。
金谷氏:生成AI活用に前向きなのは、社風もあるかもしれません。2024年8月にミッション・バリューを従業員を巻き込んだプロジェクトを立ち上げて再定義したのですが、「変化を生み出す」という価値観が自然と出てきています。変化を恐れず、新しい技術を使いこなしていくことに前向きなので、自然と活用が広がっています。
橘氏:全社導入が始まったばかりですので、より多くの社員に生成AIアプリやチャットボットを用意していると認知を広げていくことが必要であると思っています。認知を広げる取り組みの1つとして、例えば、社内のお問い合わせチャットボットについては、毎日朝10時に「Slackで問い合わせする前にAlliに聞いてね!」とSlackチャンネルに自動投稿しています。
金谷氏:生成AIも他のDXツールと同じで、認知されるまで情報発信を続けたり、定着するまで状況を見てサポートしていく必要があると考えています。
ー サーキュレーション様は、生成AIアプリを数十個リリースされています。現場で利用されているアプリについて、いくつか具体的にご紹介いただけますか?
金谷氏:インサイドセールス業務での利用例をご紹介します。初めてコンタクトを取る顧客に関する事前準備の効率的な企業リサーチや想定課題/ニーズの推測等に活用していたり、コンタクト後に電話で話した情報の整理などに使われています。
橘氏:バックオフィス業務では、社内問い合わせ対応の自動化の他にも、文章校正、財務諸表等のPDFファイルの内容分析、社内アンケート結果の傾向分析など活用が広がっています。全体を通して、毎週のように「こんなアプリ作れないか?」と、各チームからの相談が続いています。
橘氏:先行導入した営業部署では、新卒の新入社員の育成にも活用しています。例えば、トークスクリプトのチェックを生成AIアプリで行なっています。
金谷氏:新入社員が独り立ちするまでの過程において、生成AIの存在が当たり前になってきています。時代の変化を感じますね。
ー Allganizeのサポートはいかがでしたか?
金谷氏:一言で申し上げて、CSも営業も皆さん非常に頼もしいと感じています。社内全体で数十のSaaSを導入しているなかでも、Allganizeには親身かつスピーディなご支援をいただいており、感謝しています。生成AIアプリの実現方法などをメールや電話で質問してもすぐ回答していただき、サポートなしにはここまで円滑な導入はできていなかったと思います。
橘氏:新機能のリリースや新しいLLMモデルへの対応も迅速で、ネットニュースでつい昨日今日に知った新しいLLMモデルが即座にAlli LLM App Marketに実装されていたりしています。不具合があった場合も迅速にリカバリーしており、開発組織も頼もしいと感じています。
金谷氏:サポートを受けている中で、端々でユーザーのことをわかってくれているな、と感じることがあります。生成AIを使い始めたユーザーの目線で、一歩先の情報を示唆しながらサポートしてくれるので、有難く思います。
全社共通の生成AIプラットフォームで、これまで実現できなかった飛躍的な業務効率化や生産性向上を加速させていく。
ー 今後の展望について教えてください。
金谷氏:営業生産性の向上は経営としても最優先の注力テーマであり、これまで出来なかった飛躍的な業務効率化、生産性向上ツールとして、全社共通の生成AIプラットフォームとしてAlli LLM App Marketを定着させていきたいと考えています。
橘氏:従業員によって、プロンプトのリテラシーの差があるので、Alli LLM App Marketはデフォルトアプリをテンプレート集としても活用でき、使いやすいと感じています。推進者である私たちが、Alli LLM App Marketの機能やLLMの特性、プロンプトのテクニックなどを習熟していき、今後も多くの業務で生成AIを活用していきます。
金谷氏:Alli LLM App Marketは、ノーコードツール、ローコードとしての可能性も感じています。フローチャートのビルダーを使えば他の業務システムと連携できるので、外部データを取り込んで生成AIで処理したり、生成AIのアウトプットを他システムに連携して作業を自動化するといったことも試していきたいと考えています。
橘氏:エンジニアではない社員でも簡単に利用できるプラットフォームとして、Alli LLM App Marketの更なる進化を期待しています。