■導入事例■ Allganizeが自社のRAGで実現した、スケーラブルなカスタマーサクセスの形

■導入事例■ Allganizeが自社のRAGで実現した、スケーラブルなカスタマーサクセスの形

Allganizeは、企業向けのオールインワン生成AI・AIエージェントプラットフォーム「Alli LLM App Market」を開発し、300社以上に提供しています。

ご導入いただいたお客様に対するサクセス業務において、自らAlli LLM App Marketを活用し、お客様が不明点や疑問を即座に解消できるRAGチャットボット(特定情報からAIが回答を自動生成するチャットボット)を提供しています。

今回は、AllganizeのカスタマーサクセスのRAGを活用した取り組みについてご紹介します。

Allganizeのカスタマーサクセス(CS)とは

私たちは、「Alli LLM App Market」をはじめとするAIサービスを導入いただいたお客様が、AIを“使える状態”で終わるのではなく、“成果につなげられる状態”、”継続的に成果を上げ続ける状態” になるまで伴走することが私たちの役目です。

お客様との打ち合わせでの活用提案、日々のお問い合わせ対応、ユーザーガイドの整備、メールマガジンやコンテンツ発信など、あらゆるチャネルを通じて「AIの力で、すべてのビジネスワークフローを自動化する」というAllganizeのミッションを実務の中で実感いただけるよう取り組んでいます。

なぜAllganize自身がRAGチャットボットを作ったのか。「チャボ」の誕生秘話。

もともとCSとして抱えていた課題は何でしたか?

足立:CSとして課題に感じていたのは、お客様が困ったときに「どこを見れば解決できるのか」「まず何をすればいいのか」といった解決アクションに至るまでに時間を要していただいてしまうケースがあり、解決までに時間がかかってしまうことがあった点です。

特に活用初期は、権限周りや基本操作、プロンプトの書き方、データ設定など“最初のつまずき”が起きやすく、類似の疑問が繰り返し発生します。

必要な情報がユーザーガイドやFAQ、過去のご案内などに存在しますが、「探してみたけれど見つからない」「該当ページまで辿り着けない」といった状況が生まれることがあり、結果として確認のためのやり取りが増え、お客様にご不便をおかけしてしまうことがありました。

Alli LLM App Marketはアプリ/エージェント設計の自由度が高く、高度なアプリやエージェントを作成できるため、「このアプリ/エージェントを作るにはどの機能を使えば実現できるか?」のように、前提条件を整理しながら進めるケースも多く、状況の共有や確認の往復が発生しやすい領域です。結果として、お客様が疑問を解消して次の作業に進むまでにタイムラグが生まれやすく、スムーズに活用を前進いただきにくい状態も発生していました。

自社サービスのガイドを読み込ませたチャットボットの作成に至った背景は?

久保:Alli LLM App Marketは柔軟性が高く、実現できる幅が広いため、ユーザーガイドのボリュームも多くなっています。

お客様がユーザーガイドを検索する際に、利用方法や仕様の把握に一定の時間を要することもあり、活用初期のハードルになってしまうことも多いと感じていました。

また、それに伴い当社への問い合わせも増加し、CS担当者が個別対応で解決する構造になっていたことも課題でした。

そのため、お問い合わせをいただくことを前提とするのではなく、お客様ご自身が必要な情報にすぐに到達できる「自走できるコンテンツ提供」が必要だと考え、自社サービスのガイドを理解し回答できるRAGチャットボットの構築に至りました。

『チャボ』とは?

足立:『チャボ』はAlli LLM App MarketのユーザーガイドやFAQを読み込ませ、質問に対して “根拠(参照先)を示しながら” 回答する社外向けAIサポートチャットボットです。

設置場所は当社のユーザーガイドに常設し、加えてお客様とのキックオフ資料でも『困ったらまずチャボに聞く』という導線をご案内しています。

チャットボットの画面上では、回答文の横に参照元ドキュメントの該当ページが自動でプレビュー表示され、同時に参照元リンクも提示されます。ユーザーはその場で『どこを根拠に答えているか』を確認しながら読み進められるため、安心して自己解決できる点が大きな特徴です。この参照元のプレビュー表示はAllganizeのRAGの強みとして、お客様にも安心して使ってもらえるポイントだと感じています。単なる検索窓ではなく、自己解決しやすい体験を目指して設計しています。

「自社で使う」ことの意味

自社プロダクトを自ら活用することにどんな意義があると感じているか?

足立:自社で使う意義は大きく2つあります。

1つ目は、お客様と同じ目線で“詰まりやすいポイント”を日々体感しながら、ユーザーガイドやお客様への案内をすぐ改善できることです。実際、『チャボ』を運用すると「お客様がどこでつまづいているのか」「どの言い回しだと検索にヒットしにくいか」「ガイドの説明が足りていない部分はどこか」がチャットログから見えるので、FAQやガイドページ自体の改善にもつながります。

2つ目は、CSが得た知見をそのままプロダクト価値に還元できることです。チャットログを元に、よくある質問TOP3(例:①○○アプリを作るときにどの機能を利用すべきか、②プロンプトの記載方法、③データの設定方法)を把握し、コンテンツやオンボーディングに反映できます。また「Alli LLM App Marketを私たちが実際に使っている」ことは、既存のお客様・新規のお客様の双方に対して運用イメージを具体化でき、AllganizeのRAGの信頼にも直結すると感じています

回答精度を高めるために工夫したことは?

久保:精度向上においては、「実際のユーザーの質問の仕方」を前提に設計した点が大きかったと思います。

まず、ユーザーの質問理解の観点では、質問が必ずしも明確な形で入力されるとは限らないため、入力された内容が十分に具体的かどうかをLLMが判断し、曖昧な場合には意図を確認する聞き返しフローを組み込みました。

次に回答の根拠となるナレッジの観点では、マニュアル内にキャプチャ画像などテキスト化されていない情報も多く含まれているため、PDF化した内容をアップロードする際にOCR処理を行い、検索対象として扱えるようにしています。

また回答品質の観点では、複数のLLMモデルで回答品質を比較しながら、RAG Agentとグループプロンプト双方の構成で検証を行い、回答の安定性を重視した構成を採用しました。

さらに、質問・回答・解決状況を取得できる設計にすることで、リリース後も継続的に改善できる基盤を整えています。

これらはすべて、Alli LLM App Marketの基本機能で実現しています。

プロンプトや設計で意識したポイントは?

久保:設計段階では、まず「AIに質問すること自体の心理的ハードルを下げること」を意識しました。

そのため、チャットボットに『チャボ』というキャラクターを設定し、応答にキャラクター性を持たせることで、単なる検索ツールではなく、親しみを持って気軽に質問できる存在として設計しています。

AIを堅いシステムとしてではなく、日常業務の中で自然に頼れるサポート役として認識してもらうことで、お客様が気軽に活用できる体験を目指しました。

チャボ起動時の画面

回答品質の検証はどのように行いましたか?

足立:リリース前は、実際にCSに入っていた問い合わせや、キックオフ時に出やすい質問(権限・基本操作・プロンプト・データ設定など)を元にテスト質問セットを作り、その時に生成された回答と理想の回答があっているかなどを網羅して検証しました。特に、言い回しの揺れ(例:「連携」「接続」「繋ぐ」など)や、質問が曖昧なケースでも破綻しないかを重点的に見ています。

評価軸は以下の3点です。

①正しい情報に到達できているか

②根拠(参照先)が適切か/回答の横に該当ページのプレビューが出て、迷わず参照できるか 

③対応範囲外のときに無理に答えていないか

モデルやプロンプトを変えた場合は同じテストセットで再評価し、回答のブレが出にくい構成を優先しました。リリース後もログから誤解が起きやすい質問を拾い、テストを行うことで品質を継続的に担保しています。

リリースまでに大変だったこと、予想外だったこと

久保:LLMの特性上、本来は答えることが難しい質問であっても、何らかの回答を生成しようとする傾向があります。そのため、誤回答による誤認を防ぐための設計には特に配慮しました。

まず、参照ソースから回答すること自体が難しい質問については、リリース時の案内や利用画面上で「回答できる領域」と「対応範囲外の領域」を明確に示すようにしました。その上で、個別事象であっても解決優先度が高い質問については、ドキュメントとは別にFAQを用意し、特定の質問にも対応できるようにしています。

また、情報が十分に存在しない場合には無理に回答を生成しないよう、プロンプト側でも制御を行いました。

こうした対応によって、回答範囲を明確にしながら、お客様が安心して利用できる仕組みづくりを重視しました。

運用体制と改善プロセス

どのように分析、運用していますか?

足立:分析面では、チャットログ(質問内容・回答・解決状況)をもとに、月に1回、定量的に振り返りを行っています。具体的には、当月の質問総数と、解決度が「いいえ」となった件数を集計し、自己解決率(=1 −「いいえ」比率)を指標としてモニタリングしています。数値の推移を見ることで、「ユーザーが詰まりやすいタイミング」や「改善が効いている領域」を把握できるようにしています。

あわせて、質問内容をカテゴリ別に分類し、どのテーマの質問が多いかを定期的に分析しています。例えば、権限・基本操作・プロンプトの記載方法・データ設定方法に加えて、「○○アプリを作るときにどの機能を利用すべきか」といったアプリ設計に関する問いが多い、といった傾向を把握しています。こうしたカテゴリ分析を通じて、次に手を入れるべきFAQやガイドページ、キックオフ資料の説明ポイントの優先順位を決めています。

運用はCSの2名で、ログ確認→集計→カテゴリ分類→月次のまとめ(簡易レポート化)までを分担して回しています。定量(数値の推移)と定性(質問の中身)をセットで見続けることで、チャボ君を「使われて終わり」ではなく、学習しながら育つ仕組みにしていきたいと考えています。

久保:精度改善では、チャットログをもとに質問内容を分類し、それぞれに応じた改善を行っています。

具体的には、質問を以下の観点で整理しています。

  • 個別事象確認が必要な内容
  • 「チャボ」対応範囲外の領域の質問
  • マニュアル内に情報はあるが適切に参照できていないケース
  • マニュアル内に情報自体が存在しないケース

その分類結果に応じて、主に以下の対応を進め、精度改善を図っています。

  • 参照ページへのフィードバック
  • FAQの新規作成
  • マニュアルの更新・追記

AI側の調整だけでなく、ナレッジそのものも改善し、運用している点が重要だと思います。

「問い合わせを減らす」のではなく「価値を高める」

問い合わせ状況にどのような変化がありましたか?

足立:基本操作・用語の説明といった一次回答領域(即座に回答できる範囲)の問い合わせが圧倒的に減少しました。

『チャボ』の利用状況としては、月間の質問数が2025年8月:920件 → 2026年2月:1,360件と増えており、ガイドページへの設置に加え、キックオフ資料でご案内することで“困ったらまずチャボ”という“最初に聞く場所”として定着しつつあります。

実際にメールでお問い合わせをいただく際にも『チャボに聞いたら〜』と、事前に確認した上で相談いただくケースが出てきており、問い合わせ時点で論点が整理された状態になりやすいです。結果として、CSは対応件数をただ減らすのではなく、より付加価値の高い伴走(活用提案・オンボーディング)に時間を再配分できるようになっています。

実際にお客様より頂戴した声

「ヘルプサイトのRAGチャットボットはとても重宝しています。各部署のアプリ作成者から即答が難しい質問を受けた場合でも、チャットボットを通じて対応策を確認できるため、現場支援の一助となっています。」

「作りたいアプリの実現可否について、まずチャボに壁打ちしてみることで、方向性のイメージをつかむのに役立っています。」

今後この『チャボ』をどう進化させたいですか?

足立: 今後は、回答領域を広げつつ"運用しやすい改善サイクル"をさらに強化したいと考えています。 まずはログから"詰まりポイント"を生成AIを活用して自動で可視化し、FAQ・ガイドページ更新の優先度付けまで半自動化することで、改善のスピードと再現性を上げていきたいと思っています。お客様がつまずいた箇所をいち早くキャッチし、次に同じ疑問を持つ方が迷わずに済む状態を継続的に作り続けることが目標です。

あわせて、範囲外の質問が来たときの案内も整備し、必要に応じてCS担当者につなぐ導線を設定するなど、お客様が安心して使い続けていただける運用設計に進化させたいです。 こうした改善を継続的にまわせる仕組みを構築することで、プロダクトとCSが連動した"運用できる形"を常にアップデートし続けられる体制を目指しています。その結果、『チャボ』で自己解決できる範囲を広げつつ、CSはより高度な活用提案や成果創出に向けた伴走に、より多くの時間を割ける形にしていきたいです。

久保:今後は、現在対応しきれていない質問領域にも対応を広げ、よりお客様がご自身で自走いただける環境を促進していきたいと考えています。

特に、操作方法の案内だけでなく、アプリ設計そのものに対する包括的な提案まで支援できるようにし、お客様が実現したいことをより早く形にできる状態を目指しています。

さらに将来的には、成功パターンやベストプラクティスのナレッジをもとに『アプリの作り方・設計の考え方』まで相談できるようにし、CSの知見をプロダクト体験の中に溶け込ませたいと考えています。

最終的には、お客様が迷わず成果にたどり着ける"自走の仕組み"として進化させていきたいと考えています。

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